西暦2386年12月−

「前方敵艦隊、転進を開始しました!」
レーダーの動きを見ながらオペレーターが報告を入れてくる。
「別に追撃する必要もないだろうし、ほおっておいていいよ」
駆逐艦『エターナルアイランド』の艦長席で若い男性が疲れた声で言った。
そしてその男性はふぅと大きく息をした。
「これでしばらくは戦闘が起きないといいな」
「そうだといいがな。確か前も同じ事を言っていたよな、ローランド艦長」
艦長席の隣で立っていたこれも若い男性が艦長、アキラ=ローランド=スノーフォルスに声をかけた。
ローランドはその声に対して苦笑いをしながら、
「確かになぁ・・・でも、そろそろ打ち止めでもよさそうなものじゃないか?ニシザワ副長」
と、隣にいたエイジ=ニシザワ副長に声をかけた。

西暦2386年、科学の進歩により地球の環境は1850年代の頃まで回復していた。
そしてさらに宇宙への開発も進み、地球だけでなく太陽系全域に人類が生息するようになっていた。
しかし、外宇宙からの侵略も時折発生するようになっていった。
今は外宇宙の最大勢力、聖サザンノルス帝国との戦争状態にあった

「ま、とりあえずうちらも基地に戻るとしようや。少しは休めるだろうし」
ローランドがそう言うと隣にいたニシザワもうなずいてブリッジ内に指示を出していく
「ドライヴワープ準備!目的地、火星・パッカード基地!!」
「了解!本艦はこれよりドライヴワープに入ります!!」
そしてエターナルアイランドは七色の光に包まれ、残った宙域には破壊された艦船の残骸だけが残った

「・・・は?昇進・・ですか?」
パッカード基地にあるスクリーンモニターの前でローランドとニシザワは呆けたように声を上げた。
「何もそんな声を出さなくてもよかろう。ローランド大佐、そしてニシザワ中佐」
モニター越しの画面で初老の軍人、アンドレイ=スターローズ元帥は微笑みながら言った。
「いえ・・想像もしていなかったものですから・・・」
あわててニシザワが敬礼をしながら弁明をする。ローランドもそれを苦笑しながら見ていた
「そうか。では辞令だ。アキラ=ローランド=スノーフォルス中佐は本日を持って大佐に昇進。
『守護天使隊』司令として旗艦『エンタープライザー』に搭乗する事。
 また、エイジ=ニシザワ少佐は本日を持って中佐に昇進、ローランド大佐同様守護天使隊副指令として赴くこと。以上だ」

スターローズ元帥は辞令を読み上げ、二人に微笑みながら見せた。
「が、『ガーディアン・エンジェル』!? あの噂だけが先行していた超精鋭艦隊ですか!?」
さすがにこれには驚いたか、ローランドが悲鳴にも似た声を上げるが、
「うむ。では活躍を期待しているぞ」
と一方的に言ってスターローズ元帥は通信を切った。

モニターが真っ暗になって少々の沈黙があった後・・・
「おい、エイジ・・・お前なら覚えてるよな。あの部隊を・・・」
ローランドがやや固まりながらニシザワに聞いた。
「そうだな・・・。確か・・・」
とニシザワは思い出そうとしながら話はじめた。
「『守護天使隊』、通称G・A隊。艦隊とは言えど、空母1、駆逐艦3で構成された部隊だ。
ただし全ての艦にオーバーテクノロジーが結集されてると聞く。
特に空母『エンタープライザー』に搭載されている3機の艦載機部隊、
『セラフィムフォース』は艦載機がパイロットを選び、その代価としてとてつもない能力を発揮するらしい」

「ふぅ・・・ん・・・ま、詳しくはいってみないとわからないってことか?」
「そうだな。また休めなかったな、アキラ」
ニシザワはスクール時代からの親友の肩をぽんと叩くと、地球にある宇宙連合軍総司令本部へ向かうためにシャトルに乗り込んで向かった。

宇宙連合軍総司令本部−
二人はシャトルを降りると一人の女性が待っていたことに気がついた。
「アキラ=ローランド=スノーフォルス大佐にエイジ=ニシザワ中佐ですね?お待ちしておりました。
 私は旗艦『エンタープライザー』のチーフオペレーター、ルナ=クリスティーヌ=レイモンドと申します。クリスと呼んでくださって結構ですわ。
 それでは『エンタープライザー』へ案内いたしますね」

と女性−クリスは二人に敬礼をしながら言った。
ローランドも敬礼をしながら「こちらこそよろしく」と笑いかけてニシザワもそれに続いた。

そしてクリスの案内で『エンタープライザー』へ向かう。少しの期待と大きな不安を心の中に持ちながら−

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