「クリス、あの救援信号を出してる艦と通信は出来るかい?」
「はい、やってみます。艦長、すいません。あちらの方から通信が入ってますが・・?」
「はは。タイミングがいいなぁ。回線をつないでくれ」
アキラが言うと同時にモニターに女の子の顔が映し出された。
「すいません、助けていただいて、ありがとうございました」
「君は・・・?その艦には君だけが乗っていたのかい?」
アキラが少女に対して問いかけると、少女は黙ってうなずいた。
「これは驚いた・・。まさか女の子一人だけが・・・」
「あの・・申し訳ないのですが、いろいろとお話しすることがありますので、こちらの艦に来ていただけないで・・しょうか・・・?」
モニターの中で少女が不安そうな表情を見せながら話す。
それと同時に、司令室にいたクルー全員がアキラの方を一斉に見た。
「そうだねぇ、女の子一人にしておくのも問題だし、行こうか」
「おいおい、本気か?」
エイジの問いかけにアキラは笑ってうなずく。
「ありがとうございます・・・。では、お待ちしてますね・・・」
少女はそう言うと、そのまま前に倒れるような画面が写って、通信が切れてしまった。
「彼女、大丈夫かな?とりあえず行こうか、心配だし」
「そうだな、本当は俺が着いて行きたい所だが・・・」
「あ、そしたらあたしが着いていくにゃ。それならいいでしょ?」
いつのまにブリッジに入ってきていたのか、ミナの声が響いた。
「そうだな、エンジェル・フレームなら何かあった時でも大丈夫だし」
「うん、決まりっ♪それじゃ、行ってくるねー」
ミナとアキラはそう言うと、ブリッジを出て格納庫に向かう。
「さて、俺たちは万が一のために、第二種戦闘配置で待機」
エイジが二人がいなくなったブリッジで指示を出して、ブリッジの中はつかの間の休息に包まれた。

ミナたちがエンジェル・フレームで発進すると、目の前の艦から誘導灯が発光されて、
その光に沿ってゆっくりと近づいていき、そしてそのまま艦の中の格納庫へと入っていく。
「わざわざ来ていただいて、ありがとうございます・・・」
アキラたちが格納庫に降りると、さっきの少女が出迎えに来てくれていた。
「俺は宇宙連合軍『守護天使隊』隊長のアキラ=ローランド=スノーフォルス。
長いからアキラでもなんでも、好きに呼んでくれて構わないよ」

「あたしは宇宙連合軍『守護天使隊』所属、『織天使隊』のミナ=オガサワラって言うにゃ。よろしくにゃ♪」
ふたりがにこやかに笑いかけながら手を差し出すと、
「あ、あたしはシェラって言います。よろしく、お願いします・・・」
シェラと名乗った女の子が、おずおずとその手を握る。
「さて、話ってなんだい?」
「あ、あの、ブリッジのほうまで来てください・・・」
シェラはそう言うと、おずおずと歩き出す。ミナとアキラもその後ろに並ぶように歩き始めた。
艦の中は攻撃を受けていたせいか、あちこちで破壊された跡が残っていた。
そして、ブリッジに着くと、シェラがくるりと振り向いて、アキラたちのほうを見た。
「シェラちゃん以外には、この艦には誰も乗っていないのかい?」
アキラがそう問いかけると、シェラは淋しそうにうなずいて、
「はい・・、この艦『シエル』には、あたしと管制システムのジョニーしかいないんです・・」
そう言うと同時に、シェラの隣に、ホログラムで15歳くらいの少年の姿が映し出された。
「これが、管制システムのジョニーです。あたしの、たった一人の仲間でもあるんです・・・」
シェラの言葉と同時に、ジョニーと呼ばれたホログラムがまるでそこに本当に人がいるかのようにお辞儀をする。
「そうか・・・。そうしたら、なぜ攻撃を受けていたんだい?」
アキラの言葉に、シェラの表情が暗くなる。そして、そんなシェラに反応するかのように、
ジョニーが右腕を上げて、天井のほうを指差した。
アキラとミナが天井を見上げると、そこには先程、アキラたちが攻撃して、無傷だったアンノウンの映像があった。
「この艦は・・さっきの・・・」
「それは『スィーバー』・・。あたしたちが住んでいた星を・・・
いきなり侵略してきた『エヴィル・セヴンス』の艦のひとつです・・・」

「じゃあ、シェラたちの親御さんたちとかは・・・」
「はい・・、お父さんたちは、たった一人の子供のあたしを逃がすために、
みんなであたしをこのシエルに乗せてくれて・・・でも、みんなは間に合わなくって・・・」

シェラがそう泣きながらぽつりぽつりと言い終わるとほぼ同時に、モニターにエイジの顔が映し出された。
「エイジ?どうしたんだ?」
「さっきの艦がまたこっちに向かってきているようだ!こっちに戻ってきてくれ!」
エイジの声が『シエル』のブリッジに響き渡った・・・。

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