それからしばらく3人はいくつものドッグを通り過ぎて−
「おつかれさまでした。これが今日から乗っていただく旗艦『エンタープライザー』ですわ」
一番前を歩いていたクリスが立ち止まってローランドたちのほうを振り向きながら言った。
「大きい・・・な・・・」
なんてありふれた言葉を言っているんだとローランドは思いつつも、どうしてもそれは声になっていた。
クリスはそんなローランドの反応に微笑みながら、
「そうですわね。私も含めてほとんどのクルーも最初はそういう反応でしたから。とりあえず船内に案内しますわ」
そう言って船内へとローランドたちを案内した。

船内に入るとまずはブリッジからみて回ることになり、3人はブリッジへ向かった。
クリスがまずブリッジに入り、それからローランドたちが入ると、中のクルーたちからの歓迎を受けた。
クルー全てに挨拶をローランドたちは済ませると、3人はとりあえずブリーフィング・ルームへ向かった。

部屋に入るとクリスが持っていたディスクをカートリッジに差しこみ、スクリーンにエンタープライザーの姿が映し出された。
「それではこの『エンタープライザー』の基本的な部分について説明させていただきますね。
 映像を見てもらえばお分かりになられると思いますが艦首は2つ、準双胴型の戦艦ですわ。」

言いながら操作を行い、各部分が拡大されていく。
「武装についてはミサイルが4門、粒子ビーム砲2門、対空型機銃2門。ここまでは他の通常戦艦と一緒ですわ。
 その他の点については移動型砲台−通称『SYPHA』。
 これはブリッジからのコントロールに反応し、自由に中域を展開して攻撃する兵器です。
 そして『エンタープライザー』のメインとなる武装は2つですが3つの使用法があります。
 一つは対タキオン消滅砲、通称『ロスト・ノヴァ』。今までの戦艦の主砲とは比較にならない破壊力を誇ります。
 これは二つの艦首から発射される超強力ビーム砲です。
 さらにこれはフルパワーの正面に対する発射だけでなく、拡散して打ち出すことも可能で・・
 拡散したビームは『SYPHA』がさらに反射・拡散させ、威力は落ちますがまさにビームの雨を降らせることが可能となります。
 そして2つ目、こちらは通称『スマッシャー・ヘヴン』。
 先程の『ロスト・ノヴァ』と同様の対タキオン消滅砲なのですが、こちらは多少威力が落ちます。
 これは艦首の間、そうですね。ブリッジの真下あたりに発射口があります。
 その代わりクイックチャージャーによる連射が可能になってる上に・・・。
 発射前に小さな時空のひずみを発生させ、その中にビームを打ち込みます。このビームは敵の近くでまたひずみが開き
 まったく予測できないような場所からの攻撃を行うことが出来ます
 そして艦載機『セラフィムフォース』についてはあとで実際にお見せして説明することにいたしますわ」

そう言ってクリスはスクリーンの映像を消してローランドたちを見て微笑んだ。
「・・・なんだか説明を聞いてもものすごい艦だね・・これは」
まだかなり驚きから戻ってきてないニシザワを横目にみながらローランドがクリスに言った。
「確かにそうですね。戦争終結のためにこの部隊が作られたようなものですから・・・」
クリスは言いながら天井を見上げる。まるでそこになにかあるかのように・・・。

「次は『セラフィムフォース』を見ていただきますわ。同時にパイロットの3人も紹介しますね」
クリスがそういいながら3人は格納庫へと向かった。

格納庫に入ると、通常の艦載戦闘機の2.5倍の大きさがありそうな機体が3機並んでいた。
それぞれスカイブルー・ブラック・ピンクにカラーリングが施されている。
そしてスタッフがそれぞれの機体に調整をしていた。
「あら、クリス。そちらのお二人がこの艦の艦長と副艦長ですか?」
後ろから女性の声がしたので振り向くと、右手にヘルメットを持った女性が一人立っていた。
「ええ。そうよ、シェリール。アキラ=ローランド=スノーフォルス大佐とエイジ=ニシザワ中佐。あ、この女性は・・」
「はじめまして。私はシェリール=クライスと言います。一番左のスカイブルーの機体、『ラファエル』のパイロットです」
クリスの言葉を遮ってシェリールが敬礼をしながら言った。
ローランドとニシザワが敬礼を返しながら挨拶をすると、
「あら?シェリール、そんな所に立ってどうしたのにゃ?って・・なんでアキラたちがここにいるのにゃ!?」
後ろからぱたぱたとまたヘルメットを持った女性が走ってきた。
その声はローランドたちにとっては非常に聞き覚えのある声であり、思わず二人は振り向いてその声の主を見た。
「はぁ!?なんでミナこそここにいるんだよ?ついでに言うとアキラと呼ぶなよ・・」
「ふふっ。ミナは相変わらずねぇ。この人たちがあたしたちの司令らしいよ?知り合いなの?」
のほほんとした口調でシェリールがミナに問いかける。
「司令!?うわ〜・・。うん。そうにゃ。アキラが・・・うにゃ、ローランドもエイジくんもスクール時代からの同級生にゃ。」
首をこくこくと縦に振りながらミナが答える。ローランドはそんな様子を見ながら思わず笑っていた。
「ぶぅ。笑うことないにゃ・・・。でも一緒に戦うんだよね?なんかうれしいにゃ。」
「そうだな。しかしミナがセラフィムフォース隊のパイロットとはなぁ・・」
「えへへ。驚いたでしょぉ。シェリールぅ、レクターはどうしたのにゃ?まだ来てないのにゃ?」
ころころと表情を変えながらミナがシェリールに聞く。
「うーん・・・まだ来てないみたいねぇ。司令たちに機体の説明とかをしないといけないのに・・」
「ごめんなさいね。もう少し待っていてください。ちょっと呼んでまいりますわ」
クリスがそういって格納庫を出て行く。ローランドはそれを見ながら
『これは相当にぎやかなことになりそうだな』
そう心に思った。

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