それから少しして『織天使』隊の機体が『エンタープライザー』へと戻ってきた。
「惜しかったねぇ、レクターくん」
ミナがハッチの開いた機体から降りてきてレクターに笑いがなら言った。
「でも、相当僅差だったわね。5機だものねぇ」
「やっぱり俺が負けるんだよな・・。艦載機をいくつか打ちもらしたからな・・・」
レクターが少ししょんぼりとしながら言う。
「まぁまぁ。レクターもがんばったことだし、半分は私が出すよ」
「え?いいのか?珍しいな・・シェリールが・・」
レクターが驚きながらそう言う。
「いらないならいいですけど?」
シェリールがそう言いながらヘルメットを取って歩き出す。
「うわ、ごめんなさい。なにとぞお願いいたします。」
レクターがあわててヘルメットを取りながらシェリールの後を追いかける。
ミナはそんな二人の様子を見てくすっと微笑むと、自分も格納庫を後にした。

その頃『エンタープライザー』の司令室(メイン・オーダールーム)では・・・
「敵の残存数はどれくらいだい?」
アキラがクリスに向かって問いかける。
クリスはその声に対してコントロールパネルを操作すると艦長席のモニターに図が映し出される。
「ご覧の通り残り2割程度というところですが・・・いかがなさいますか?司令」
クリスが振り向いて聞いてくる。アキラは少し考え込んだが、
「敵さんは後退する気配も見せてないしねぇ・・しょうがない・・。もう少し攻撃しますか」
アキラがやれやれといった感じでモニターを見ながら言った。
「で、攻撃するのはいいがどうするつもりだ?司令」
エイジの言葉にアキラが考え込んでいると体勢を立て直してきた敵が発砲してきた。
「やれやれ・・・『SYPHA』シールド展開」
「了解、『SYPHA』前面にてシールド展開します」
そして闇を切り裂いて飛んできたビーム砲はSYPHAの表面に当たるとまるで光がガラスに当たったように屈折して四方へと飛んでいった。
「敵さんはやる気全開のようだねぇ。仕方ないな・・・『SYPHA』を敵艦隊付近に展開!散発的な攻撃の後、『ロスト・ノヴァ』による全方位攻撃を行う」
アキラは立ち上がると右手を大きく前に出して指示を出す。
そしてまるでアキラを指揮者(コンダクター)にしたようにメイン・オーダールームはオーケストラのように動き出す。
そして2回目の戦いの火蓋はきって落とされた。

『SYPHA』はそれぞれがバラバラに動きながら敵の陣形へと進んでいく。
もともとが黒に着色されている上に動力源がガスとなっているからまず敵のレーダーにかかることはなく、なんなくと相手戦艦に接近して至近距離からビーム砲で沈めていく。
アキラはそれをレーダーで確認すると一つ大きくうなずいて
「『ロスト・ノヴァ』フルパワー発車準備。同時に『SYPHA』をロスト・ノヴァ拡散位置に展開」
という指示を出していく。
「了解。『ロスト・ノヴァ』エネルギーチャージ及び『SYPHA』移動開始、フラッシュシャワー・フォーメーション展開」
「エネルギーチャージ率80%突破、『ロスト・ノヴァ』ファイナルカウントダウンスタート。10、9・・・」
「エネルギーチャージ完了、目標『SYPHA』フラッシュシャワー・フォーメーション。発射準備完了!」
「『ロスト・ノヴァ』発射!」
アキラはそう言いながら司令席にある赤いボタンを押した。
そして『エンタープライザー』から発射された光り輝くビームは『SYPHA』の一つに当たり、反射して無数の光芒に分かれ、さらに別の『SYPHA』によって拡散されていく。
それはまさに光の雨の名にふさわしく、敵艦隊に降り注ぎ無数の爆発の花火が宇宙に咲き乱れた。

光の雨と無数の花火が止まり、また漆黒の闇に戻るのをアキラは確認すると、
「これで戦意を喪失してくれればいいんだけどなぁ・・・」
と誰にも聞こえないような声でつぶやいた。

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