「ま。なるべくはやいうちにある程度練習しておかないとな。そうじゃないと、うちらはともかくほなみちゃんがきついだろ?」
と和成が言うので、ほなみと恭輔はお互いに顔を見合わせると『え?』と和成に言った。
「はは。お前とだいぶ長いことやってるんだぜ?たぶん誠司も、全曲うたわせるって思ってるんじゃん?」
と笑いながら和成が言ってると「ま。そういうこった」と後ろから声がした。
慌てて恭輔とほなみが振り向くと誠司が立っていて、
「その代わり余り時間はないぜ?少しきびしめに行くからな」とにやりと笑いながら言った。
「わぁ、ありがとう!」とほなみが言うと同時に、始業のチャイムが鳴った。
「じゃあ昼休み、一回やってみるか」という恭輔の言葉に全員がうなずくと席についた。

昼休みになると恭輔たちは各自が昼食を持って、軽音楽室へ集まった。
「さて・・と。じゃあ食べてる間にもう一回流すか」
と恭輔が言うと再びロッカーから朝、流したテープを取り出すと、再びそれを流し始めた。
ほなみは曲が流れ出すと、譜面を床に並べてじっと曲に聞き入り、覚えようとしていた。
ほなみは恭輔たちが黙々と食べている隣で少し食べながらも、テープを繰り返し聞いて時に口ずさんだりもしていた。
それからしばらくして
「さて。そろそろやってみるか?」
と食べ終わったころあいを見計らって恭輔が立ち上がって言った。それがさも当たり前のごとく、和成と誠司は準備をはじめた。
恭輔は「どうだい?いきなりやれそう?」とほなみのほうに向かって聞くと
「うーん・・・あんまり自信ないかな・・・譜面見ながら、歌えるところだけ歌うでいい?」
とちょっとうつむき加減に言うと「いいよ、しょうがないよな?」と恭輔は誠司たちのほうを向いて言い、
うなずくのを確認すると「大丈夫だから。な」とほなみに言った。
「うん」と笑ってほなみが言うのを確認すると「よし。それじゃあやろうか」と恭輔は言うと、ポジションについた。

「・・・で?どれにするんだ?」と恭輔に和成が聞いてきた。
恭輔はしばらくの間考えていたが「ほなみはどれがいい?」と聞いた。
すると「わたし?じゃあこれ」とほなみはテープに入っていた最初の曲を指しながら言った。
「ん?ああ、それね」と恭輔が見ながら言うと「ま。いいんじゃないか?本人がやりたいって言うんだから」と誠司が笑いながら言ってきた。
「あぁ。そうだな。じゃあはじめようか」と恭輔は再びポジションに付くとカウントを数え出して、曲が始まった。

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