「えっと・・・?情景とかね?うん。わかった・・・」
とほなみは言うと、譜面に目を通し始めた。
それからしばらくして・・・
「ねえ恭輔・・・これって恭輔が書いたんだよね・・?」
とほなみが唐突に聞いてきた。
「あ?ああ。そうだが」と恭輔が答えると
「すごいね・・・なんだかすごいわかるような詩だもん・・悲しさとか伝わってくるよぉ」
とほなみは譜面を置いて言った。
「それで?何をどう・・・?」と恭輔が言い終わる前に「ね。もう一回テープかけてよ」とほなみが恭輔に言ってきた。
「え?いきなり歌うの?」と恭輔が戸惑っていると
「うん。だって今つかんだイメージを忘れないうちに歌ってみたいから」
と立ち上がりながらほなみが言った。
恭輔は苦笑をすると
「しょうがないな・・・じゃあ、そのイメージを聞かせてもらうよ」
と言うとテープをかけようとして
「ん?譜面は要らないのか?」と床に置きっぱなしの譜面をみて言った。
「うん。いらない。イメージだけで勝負してみるの」
ほなみはそう言うとくすっと笑った。
恭輔はその笑顔を見るとやれやれ。と言った感じで再びテープをかけた。
ほなみはテープから前奏が流れてくる間、目を閉じていた。
(私が歌う理由にこの詩も良く似ていたのね・・・だったら、わたしは恭輔を思いながらこの詩を歌えばきっとあうはず・・・)
そして目を開くと流れてくるメロディーにのって歌い始めた。
「・・・どうだった?」
曲が終わってほなみが恭輔のほうをじっと見て聞いてきた。
恭輔はテープを止め一つ息をつくと
「・・・さすがだな。相変わらず飲み込みがはえーわ・・・」
と感心しきった様子で言った。
「ま、でもまだまだだね。あとは練習回数さえこなせば平気だろうしね」
と恭輔が言うと「じゃあやっちゃおうよ。早く練習できるようにしないといけなんでしょ?」
とほなみが言ってきた。恭輔は一瞬目を丸くし
「でも、お前・・・喉は大丈夫か?」
と聞いたが、ほなみがにこにこしているのを見ると
「・・・まあ平気そうだな。だが、無理っぽくなったら言えよ?」といって再びテープの巻き戻しをはじめた。
「あはは。心配してくれるの?」
とほなみが笑いながら聞くと
「ば、ばか。そんなんじゃねーよ・・」という反応を恭輔は示した。
「どれくらいまで歌えばいいの?」
再びテープをかけようとした恭輔にほなみが聞いてきた。
「ん?俺からはここまでってのは言えないよ。あとはほなみ自身が納得すればある程度は大丈夫だから」
恭輔はそう言うとほなみの詩が書いてあるルーズリーフをながめて、考え事を始めた。
「恭輔は何するの?」ほなみが恭輔の顔を見ながら聞いてきたので
「ん?おれはこの曲を作るだけだよ。あまり時間もないしな」
と答えると再びルーズリーフを見ては、キーボードで音を探す作業を始めた。
ほなみはその様子をみるとくすっと笑って再びテープをかけて歌い始めた
ほなみはしばらく歌い終わると、隣で音を探してはため息をついてる恭輔の隣に座った。
「・・・この詩じゃあんまりうかばない?」とほなみが心配そうに恭輔を見ると
「いや、いつもこんなものだよ」と恭輔が笑いながら答えた。
「ねえ・・・この詩でどういう風にするわけ?」
とほなみが恭輔の作業を見ながら聞くと
「ほなみはどういう感じの曲がいい?」と恭輔が紙を床において聞いてきた。
「わ、私?うーん・・・そうだなぁ・・・わたし的にはスローバラード系にしてくれるとうれしいかも・・・」
ほなみが少し戸惑いながら答えると
「スローバラードか・・・わかった。とりあえず候補に加えてみるよ」
と恭輔は言うと、立ち上がってテープをケースにしまうと
「今日はこれくらいでいいだろ?そろそろ帰ろうぜ」
といって後片付けを始めた。

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