ほなみは恭輔の言葉に、「ん」と言って黙ってうなずくと立ち上がった。
恭輔がテープをセットしようとすると、
「昨日の今日だろ?そんなによくなったのか?」
と誠司が聞いてきた。恭輔は笑いながら
「まぁ、聞いてりゃわかるだろ?」
と言ってテープをセットし、再生ボタンを押した。
少しして、ラジカセから曲が流れ出し、ほなみは右足でリズムを感じ取りながら左手を胸に当てて歌い始めた。
ほなみの歌を聞いて誠司たちは驚いたように恭輔のほうを見た
恭輔は笑うと再びほなみの歌に聞き入り、誠司たちもそれに同じた。 それからまたしばらくして曲が終わると、ほなみが大きく息を一つして
「ど、どうかなぁ・・・?」
とおずおずと恭輔たちに聞いてきた。
恭輔が誠司たちのほうに目で振ると誠司が「やれやれ」と笑いながら言って、立ち上がった。
ほなみが目を丸くして戸惑っていると、恭輔たちはがさがさとセッティングを始めた。
「ほら。ほなみちゃんもやるよ。あんまり時間ないんだし」
と誠司が笑いながら言うと、「え?それじゃ・・」とほなみは戸惑いながらも聞いてきた。
「ああ。OKだよ。残り期間も少ないしな。一気にやるから」
と恭輔が笑いながらほなみの頭をぽんぽんとたたいた。
ほなみは恭輔のほうを見ると、「うんっ!!」とすごく幸せそうに笑いながら言った。

「やれやれ・・これでこの曲は区切りがついたな〜」
放課後の練習が終わって誠司が伸びをしながら言った。
「あと4日か・・。明日はわかってるとおもうけど体育館練習だからな?」
と恭輔が言うとみんながうなずいた。
「でも・・恭輔、ひとつ聞いていい?あと・・・5曲ぐらいあるんだよね?大丈夫なの?」
ほなみが恭輔のほうを向いてうつむきながら聞いてきた。
「んー?それはほなみ次第だよ。まぁ、俺は練習以外でも付き合えるから。あんまり不安にならない方がいいよ」
と恭輔が言うと、「あ、うん。そだよね」とほなみがうんうんとうなずきながら言った。
「さて・・と。じゃあ今日は終わりにしようか」
誠司たちはそう言うと後片付けを始めた。

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