「う〜・・・さすがに緊張しちゃうね」
今日は新入生歓迎会当日。ほなみがステージの横でそっとつぶやいた。
「はは。まぁ少しは仕方ないさ。でも、この前みたいのは無理だからな?」
恭輔がほなみの顔を覗き込みながら言うと「うん。そうだね」とほなみはうなずいて返した。
「しかし、あたしも歌うなんてなぁ。知り合い連中に話したらびっくりされたよ」
桜はそう言いながら上のほうを見て放送委員の子達に手を振る。
「あはは、そうだろうなぁ。一気にメンバーが増えてしかも生徒会長つきだからな」
「ここまでの変化をするなんて考えてなかったぞ?俺は」
誠司が黙々とセッティングをしながら、でもまんざらでもなさそうに言った。

「さて・・あと30分ね。みんな、大丈夫?って聞くだけやぼかしら?」
桜が少し考え込んで、でもにこっと笑いながら問いかけると。
「当たり前だろ?ほなみならともかく俺達は場数踏んでるんだから」
恭輔は少し笑いながらほなみのほうを見て桜に返した。
「う〜・・いじわるぅ・・でも、あたしも大丈夫だと思うよ」
「ん。ほなみちゃんが大丈夫そうなら安心ね」
桜がにこにこと笑いながらほなみのほうを見て言った。

「ま、大丈夫だろ?1番の間はステージの横から歌うんだしな」
恭輔はほなみの頭の上にぽんと手を置きながら言った。

そして恭輔たちがセッティングをしていると・・・
「へぇ?思ったより緊張してないな。さすがと言うところか」
と恭一郎がみんなの背後から声をかけた
「ん?お前はここでぼーっとしていていいのか?」
ややあきれたような感じで恭一郎のほうを見ながら恭輔が言うと
「いいんだよ。この時間はこっちにいたほうがかえってやりやすい」
少しにやにやとしながら恭一郎が返してきた
「ま、相変わらず恭一郎らしいこと」
桜はそんな恭輔たちのやり取りを見ていたがため息をつきながら言った。
「おいおい。まるで俺がいつも仕事放棄してるような言い分じゃないか?」
恭一郎は桜の言った言葉に反論するような口調で言ったが
「あれ?違うのかしら?あたしからはそう見えますけどね」
と桜に笑いながら返されて苦笑いを浮かべた。
「さておしゃべりはそこまでにしといたほうがいいぜ。あと10分だ」
誠司がその雰囲気をぴしゃりと遮るように言った。
恭輔たちはその言葉を聞いて話をやめるとまた元のように目を閉じたりしてイメージを始めた。
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