そのテンションは曲が変わっても落ちることなく、最後の曲の演奏が終わるまで続いた。
そして最後の曲も終わりを迎え、恭輔がキーボードから手を離す。
それと同時にほなみと桜が真ん中に二人並んで立つ。
「じゃ、ここで改めて新しいメンバーを紹介することにする
おもむろに恭輔はそう言うと桜とほなみに目で合図をした。

「えっと・・・日野 ほなみです。これからたくさんいろんな歌を聞いてほしいです。よろしくお願いします」
「新メンバーの小笠原桜です。ま、こんな生徒会長だけどよろしくね」
二人の言葉と同時に場内から拍手が巻き起こる。その様子を見てほなみが幸せそうに笑った。
それを見ていた恭輔もにこりと笑ったが急に何かを感じたのか、ほなみのほうに向かって走り始めた。
それと同時にほなみが急に後ろに向かって倒れる。しかし恭輔のほうが間に合い、倒れる前に受け止めた。
場内は一瞬騒然としたが、しかしすぐに恭輔が間に合ったことにより落ち着きを取り戻す。

「まったく。あれだけ無理するなって言っただろうが・・・」
口調は少し怒ってはいるが優しい顔で恭輔がほなみに言う。
「うん・・・ごめんね。ちょっとだけ張り切りすぎちゃったかな」
ほなみが照れくさそうに舌を出しながら謝った。
そしてほなみは恭輔に『もう大丈夫だよ』というと、そのまま起き上がった。

それからほなみは桜たちにも『大丈夫だよ』と声をかけて、それから客席のほうに一つお辞儀をした。
そしてそれと同時に幕が閉まり、ほなみたちのファースト・ステージが終わりを告げた。

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