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「あら、もうこんな時間なんだ・・・。今日はこれで帰るね?」
ほなみが何回目かの練習が終わったあとに時計を見て恭輔に言った。
「ん?ああ、確かにこの時間じゃな・・・」
恭輔が時計を見ると針は9時半を指していた。
「うん。だから今日は帰るね。また練習はできるし」
「ん、わかった。じゃ、そこまで送ってくかね」
恭輔は譜面をキーボードの上に置くと立ち上がって言った。
「じゃ、ちょっとほなみを送ってくるから」
恭輔は下におりると、台所に顔を出して座っていたひろこに声をかけた。
「あら、もう帰るの?気をつけてね、またいつでもいらっしゃい」
ひろこが立ち上がって台所からほなみに顔を出しながら言う。
「はーい 。ありがとうございますっ。またお邪魔させてもらいますね」
ほなみはひろこににっこりと笑いかけながら答えた。
「じゃ、そういうことで。行こうか?」
「うん、そーだねっ。それじゃ、お邪魔しました」
ドアから外に出る前にほなみはもう一度ひろこにぺこりとお辞儀をして外に出た。
「さすがにこの時間でも結構暑いもんだな」
「そうだね〜、もう夏休みだもん。暑くなきゃおかしいよぉ」
「ま、それもそうか。どうせ今年も練習に追われるしな」
恭輔がふっと苦笑いをしながらほなみに言う。
「そういうこと言わないのぉ。今年はかわいい女の子が二人もいるんだよ?」
恭輔はそれを聞いて一瞬目をぱちくりとさせたが、笑い始めた。
「む〜・・・なんでそこで笑うのよっ・・・」
「いや、悪い悪い。しかし、自分でかわいいとか言うか?普通」
「・・いじわる。いいじゃん。そういう表現したってさぁ」
ほなみはそういうと恭輔から目をそらして後ろを向いた。
「こらこら、怒るなよ・・・。確かにほなみも桜もかわいいけど・・」
「えへへっ。怒ってないよぉ。そっかぁ。恭輔から見てもあたしたちはかわいいのね。えへへっ」
すまなさそうにしてる恭輔の顔を覗き込みながらにっこりと微笑んでほなみが言った。
「それに・・。恭輔のそういうところがあたし・・好きなんだから・・」
ほなみがほんの小声で呟く。でも恭輔には聞こえなかったらしく、『ん?なんか言ったか?』と言ってきた。
「ん。ううん、なんでもないよっ」
とほなみは笑いながら言った。心の中でため息をつきながら・・
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