そして恭輔たちは道具をまとめると部屋を出て行った。
沙良はそれを確認すると、
「ほらほら。固くならないで、まずは座って」
とにこやかに笑いかけながら言って、二人を座らせた。
「あの・・・沙良先輩・・。」
「はい?桜ちゃん、どうしたの?」
桜がおずおずと問いかけて沙良がそれに答える。
「先輩から見て、あたしたちってどうなんですか?やっぱり不安で・・。」
「うん、なるほどね。自信がないのねぇ。」
沙良はうんうんとうなずきながら桜に答える。
「なーんにもないって言ったらまぁ、うそになるわね。そのために残ってもらったんだけど」
「はぅ〜。やっぱりですかぁ・・」
ほなみがしゅんとした感じで肩を落とす。
「だ〜。だから暗くならないの。それをなおすためにあたしがいるんだからぁ」
沙良が微笑みながら二人に言う。そして恭輔が置いていったスコアに目を通し始めた。

「ほなみちゃんたちはア・カペラは出来るの?」
沙良がスコアを机の上において唐突に二人に聞いた。 「えっ、どーでしょ・・主旋律とかはわかってますけど・・・」
「あたしもあんまり自信はないです・・・」
沙良はそんな二人の様子を見ながら、
「うーん、そっかあ。じゃあ、あたしが一回歌ってみるから、
それを聞いたら歌ってみて?」

言うなり沙良は立ち上がると、息を整え始めた。
そして目を閉じて大きく息を吸い込むと、部屋中に広がる張りのある声で歌い始めた。

沙良の声は少し低いが圧倒する雰囲気と広がりを見せる声で、ほなみと桜はその声に圧倒された。
「まぁ・・こんなものかしらね。」
沙良が歌い終わって椅子に座りながら言った。
「久しぶりに聞きましたが・・やはり圧倒されますねぇ・・」
「あたしは聞いたことなかったですけど、すごいです・・
やっぱり恭輔たちが言うだけありますです。」

ぱちぱちと拍手をしながら桜とほなみが言う。
「そんなに大層なこといわれるほどじゃないけどね。じゃ、次はあなたたち。」
「はい〜・・。がんばりますです。」
かなり緊張しているのか、ほなみがかちかちになりながら立ち上がった。
それに習って桜も立ち上がって、二人は歌う準備を始める。
「ああ、ちょっと待って。えーと・・、うん。いいわよ。」
沙良はテープレコーダーのスイッチを録音状態にして、二人にOKの合図を出した。

「まあ、これはあとで聞いてもらうとして、そうね。ほなみちゃんは恭輔が好きなのね」
停止ボタンを押してテープを止めるといすをこちら側に向けて沙良が言う。
ほなみはその言葉を聞いた瞬間に一気に顔が赤くなった。
「わかりやすいわね〜。まあ、でも恭輔は気付いてないんだろうな〜」
「そう・・なのかもですね・・。そんなにあたしわかりやすいですか・・?」
「まあ、普通じゃないかしら 。好きな人がいる人ならわかられるかもね。」
「そうですか・・・。と言うことは・・沙良先輩も誰か好きな人が?」
「あたしも聞いたことないな〜。沙良先輩の好きな人、教えてくださいよぉ」
二人から質問され、沙良は少し微笑みながら
「そうねぇ・・・。あなたたちのメンバーの一人よ」
とほなみたちに言う。
「あ・・・あたしたち・・あの3人の中の誰かですか!?」
ほなみがそう言って驚くそぶりを見せた。


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