「うん、さっきよりはずーっといいわ。
今みたいに感情を入れることが必要なの」

歌い終わった桜に向かって沙良が微笑みながら言う。
「歌うのってやっぱり大変ですねー」
桜がしみじみしながらつぶやく。沙良はそれを聞いてくすくす笑うと
「そうねー。簡単じゃないけどだからこそ、
がんばらなきゃ。って思ったりするのよ。」

自分に言い聞かせるようにうなずきながら言った。
「沙良先輩にとって歌ってなんです?」
「あら、珍しい質問ねぇ。
そうねぇ・・『自分らしさ』かな。」

一瞬首をひねって考え込んだが、すぐに沙良は答えた。
「『自分らしさ』・・ですか?」
「そう。意外かも知れないけど、これでも
あたしって結構口ベタなんだよねぇ。でも、
歌になればいくらでも表現できるから。だから。かな」

「そうなんですかぁ。確かに意外です。
結局イメージトレーニングって・・?」

「あぁ、それに関しては、宿題をあげるわ。」
沙良はカバンからノートを2冊取り出すと桜に渡した。
桜がそのノートをぱらぱらとめくると1冊目には詩が、
2冊目は何も書いてない空白のノートだった。
「こっちのノートには何にも書いてないですが・・」
「うん、今から説明するわね。
片方のノートには詩が書いてあるわ。でね、
その詩の情景と、歌うときの注意点を桜ちゃんなりに考えて
そのノートに書いてみて。
それがイメージトレーニングの訓練。
それを午前中にやってもらうわ。午後はほなみちゃんと
また一緒にレッスンするから。」

「わかりました。これは先輩があとで
チェックしたりするんですか?」

「もちろんそうよ。
これは桜ちゃんがどれだけ感情移入をできるか。
を伸ばしてもらうためにやるわけだから。
みんなには期待してるから。」

「期待されてるんですかー。
なんか緊張しますねー。」

「あはは。でもそれくらいでないとね。
じゃ、あたしはほなみちゃんのほうに行ってみるわ。
トレーニング頑張ってね。」

「あ、はい。わかりました。」
沙良はそのままかばんを持って部屋を出て行く。
桜は言われたとおりにノートを広げて、情景を考え始めた・・


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