キーンコーンカーンコーン。
春休み前に行われる試験の終了を告げる鐘の音がアカデミー中に鳴り響く。
「ふいー・・。やっと終わったぁ・・・」
クラスのあちこちで安堵の声や、間違ってしまったのか、後悔をするような声が聞こえる。
ユウもそんな中で軽く背伸びをして、テストから開放された気分を味わっていた。
アカデミーに転校してきて2回目のテストだったが、前回よりはテストの手応えをユウは感じていた。
「やっほー、ユウくん、どうだったー?」
クラスメートのアロエが元気良く近づいて、ユウに話しかける。
「まあまあ、だと思うよ。アロエちゃんはどうだったの?」
「うーん・・・。やっぱり難しかったかなあ・・って。ユウくん、頭いいもんねー」
「そ、そんなことないよ」
舌をぺろっと出しながら「やっちゃった」という顔をして、アロエがユウに話しかける。
そんなアロエに、慌ててユウは否定をする。
「あっ。ごめんね、今日はちょっと用事があるから、先に帰るよ?」
「あ、うんっ。また月曜日ねー☆」
ユウはアロエにそう言うとかばんを持って席を立つ。
そしてアロエがうなずいて手を振るのを見て、教室から廊下に出た。
急ぎ足で寮の自分の部屋に戻ると、
「サツキ、ただいまー」
と本来なら誰もいないはずの部屋に声をかけて、かばんを床に置いて座った。
「あら、ユウおかえりー。テスト、どうだった?」
「うん。この間よりは出来たと思う。サツキが教えてくれた内容もちゃんと出たし」
ユウの目の前にいきなり出現した女の子がユウに話しかけ、それにユウが笑顔で答える。
本来個室のはずのユウの部屋の同居人、サツキ。
もともとはアカデミーの生徒だったのだが、不慮の事故によって死んでしまい、幽霊になってしまった女の子。
「でも、サツキもぼくの言ったとおり、ちゃんと部屋で待っててくれたじゃん」
「だって・・・ユウにお願いされたら聞くしかないじゃない・・・」
ユウがサツキににっこりと笑いかけ、サツキは下を俯きながら答える。
前回のテストは、サツキも一緒にアカデミーに行っていて、誤って答えを教えてしようとしてしまっていたため、今回のテストはサツキは部屋でお留守番をしてもらおう。とユウは決めており、サツキにそう伝えていた。
そして、サツキはユウのお願いを聞いて、ちゃんと部屋の中でユウが帰ってくるのを待っていたのだった。
ユウは制服から私服に着替えると、そんなサツキを見ながらテストの間、考えていたことを言うことにした。
「ねね、サツキ」
「なに?ユウ」
「ちゃんとサツキもぼくの部屋で待っていてくれたし、ご褒美に明日、遊園地でも行かない?二人だけで」
ユウの言葉にサツキがびっくりしたように目を丸くして、ユウのことをじっと見る。
「いっ、行くっ!絶対行くっ!!」
一瞬反応が遅れて、必死にこくこくとうなずきながら言うサツキを見て、ユウはかわいいと思いながら少し微笑んだ。
「あ、でも・・・。わたし、ユウと触れてないと、他の人から・・見えないけど、いいの?」
「そうだね。そうしたら、ずっとサツキはぼくと手をつないでいればいいんじゃないかな?それとも、それはサツキがいや?」
ユウの言葉にぶんぶんと勢いよくサツキが首を横に振って否定をする。
そんなサツキを見ながら、ユウはいきなり立ち上がる。
サツキがそんなユウの行動にきょとんとしていると、ユウはサツキの右手に自分の左手を絡ませて、手をつなぐような格好を取った。
「じゃ、出かけようか。サツキ」
「えっ・・・?だって、遊園地は明日じゃ・・・?」
「行くのは明日。でも、サツキもその制服のままじゃよくないでしょ?この間お金もらってるから、今日はサツキの洋服を買いに行こう」
ユウの言葉にサツキがぱあっと顔を輝かせる。そして、「うんっ!」ととても嬉しそうな声でユウに返事をした。
そして、二人は買い物をするため手をつないで、街に行くことにした。
「嬉しそうだね?サツキ」
いつも以上ににこにこと嬉しそうにするサツキに、ユウが問いかける。
「そ、そう?そんなに嬉しそうな顔、わたししてる?」
サツキが恥ずかしいのか、片手を自分のほっぺたに当てながら聞いてくる。
「でも、本当に大丈夫なの・・?わたしの洋服なんか買っても・・」
「大丈夫だって。せっかく明日は二人で出かけるんだから、そういうのは考えなくても大丈夫だよ」
ユウの言葉に、サツキが申し訳なさそうにしながら、でも喜ぶ顔をする。
そして二人は、洋服屋へとやって来て、二人で着るものを探すことにした。
サツキもまさか幽霊になって、こんな風に洋服を買うような出来事が起こるとは思っておらず、生きていた時のようにすごく上機嫌で店内をユウと一緒に回った。
「ねーねー、ユウはジーンズよりスカートの方がいいんでしょー?」
「どっ、どっちでもいい・・よ・・・」
いきなりサツキに話を振られて、慌ててしどろもどろになりながらユウが答える。
「じゃ、スカートにしようっと♪」
サツキはユウをからかうように微笑みながら、薄いライトグリーンのフェアリースカートを取って、かごの中に入れる。
そして似たような感じで店内を歩いて、青いスプリングコートとネイビーカラーのキャミソール、それに白いタンクトップをそれぞれかごの中に入れた。
「あれ?試着しなくていいの?」
ユウがサツキに当たり前とも言える質問をする。しかし、
「うん、大丈夫。だって、わたし死んでからサイズ、変わるわけないもの」
あっさりと笑顔で返され、ユウは思わず納得してしまった。
そして買い物を済ませた二人は、部屋に戻ってきた。
「ほんとに・・・ありがとう」
荷物を入り口の所において、サツキがユウにお礼を言う。
「お礼なんていらないよ。さ、今日は早めに寝よう。明日、めいっぱい楽しもうね?」
その言葉にサツキは顔を赤くしながらこくんとうなずいた。
ピピピピピ・・・。
目覚まし時計がなって、ユウは目を覚ました。
普段ならサツキがユウのそばにいて起こすのだが、今日は違っていた。
体を起こし、軽く伸びをしながら窓から外を見る。
白い光が窓から部屋の中へと差し込み、明らかに今日はいい天気だった。
時計を見ると午前8時。まだ時間にはゆとりがある。
ユウはあたりをきょろきょろと見渡して、サツキがいないことを確認すると、無意識のうちに微笑みを浮かべていた。
それは昨日の夜のこと。
「ね、サツキ」
お風呂から上がって、後は寝るだけ。と言う状況でユウがサツキに話しかけた。
「なぁに?どうしたの?」
「明日の遊園地なんだけど、どこかで待ち合わせしてから、行かない?」
ユウの言葉の意味を理解できなかったのか、サツキは一瞬きょとんとしたような顔をする。
しかし次の瞬間に意味を理解したのか、顔を赤くした。
そう、ユウは「デートをする時の恋人たちのように、待ち合わせをしてから」と言う意味で言ったのだった。
「ゆ、ユウがそれがいいなら・・・」
「じゃあ、明日朝9時に、アカデミーの正門前で待ち合わせ。遅刻しちゃ、だめだよ?」
にっこりと笑いながらユウが言う。
「そ、それはユウもっ!明日・・・ちゃんと待ってるからねっ」
サツキの言葉を確認すると、ユウは電気を消す。
当然暗闇の中なので、サツキの姿もユウの視界から消えた。
「さて、着替えて、待ち合わせ場所に行かなくちゃ」
恋人たちがデートをするときもこんな気持ちなのかな?と内心で少し恥ずかしそうに思いながら、それでもユウは急いで着替えて、自分の部屋を出た。
時計は午前8時半。
サツキは昨日ユウに買ってもらった真新しい洋服に袖を通して、少し恥ずかしそうに照れながら、アカデミーの正門によりかかってユウが来るのを待っていた。
「ちょっと早すぎたかな?でも、いいよね・・・」
サツキが生きていた時にはこういう経験と言うのはほとんどといっていいほど無く、そのせいかさらに緊張に輪をかけていた。
自分で選んだ洋服は着てみると、やっぱりサイズもぴったりでサツキはユウに感謝しながら、早く来ないかな・・・という気持ちでいた。
ちょうどその時、遠くから歩いてくるユウの姿を見つけて、寄りかかっていた状態から、立って両手を後ろで組むような格好をした。
ユウが正門に向かって歩いていて、前を見るとすでに待っていたサツキの姿が見え、ユウは走ってサツキのところに行った。
「お、おはよう。サツキ」
「ユウ、おはよう♪どう、これ似合う?」
サツキが言いながらくるりと回って、ユウにその姿を見せる。
制服姿のサツキしか見たことがなかったユウからしてみたら、その姿はユウをドキドキさせるには申し分ないものだった。
普段は見慣れてるはずのストレートの髪の毛も、妙に洋服の色とあいまって、ユウはその姿に見とれてしまう。
「・・似合ってないかな・・?」
サツキが不安そうな顔をしてユウに問いかける。ユウは慌てて首を横に振ると、
「そっ、そんなことないよっ!ただ、サツキがすごくかわいくて・・びっくりして・・・」
恥ずかしそうに下をうつむきながら言う。
「あは。ありがと♪それじゃ・・行こうか?」
嬉しそうににっこりと笑うと、サツキはユウの手を自分から取った。
「そ、そうだね。行こうか」
ユウはそんなサツキの手を、しっかりと握って並んで歩き出した。
駅まで歩くと、ユウがサツキの分も切符を買って、電車に乗り込む。
「そういえば・・サツキって、こういう経験あるの?」
「えっ・・?どういう経験のこと?」
電車の中で、隣同士に座りながら二人は話をする。
「その・・だから、デートの・・」
少し恥ずかしいのか、顔を赤くしながらユウがサツキに問いかける。
「う、うん・・。少しは、あるけど・・。でも、みんなで遊びに行く、って言う感覚だったから、デートっていうのは・・ないかも・・」
サツキもユウと同じように顔を赤くしながら答える。
すると、いつの間にかユウがサツキのほうを見てにっこりと笑っていたのに気がついた。
「な、何笑ってるの・・。そんなに嬉しそうに・・・」
ぽかぽかと開いている左手で、ユウをサツキは叩こうとする。
「あはは、ごめんごめん。ただ、サツキとデートするのが嬉しくて」
そんなサツキの手を優しく止めながら、ユウが微笑んで言ってくる。
「それにあんまり騒ぐと、周りの人から見られるよ?」
耳元でユウにそっと囁かれて、サツキは恥ずかしそうに顔を真っ赤にして下をうつむいた。
そうしているうちに、電車は遊園地へと着き、一緒の電車に乗っていた子供連れや、恋人たちが降りていく。
「ほら、サツキ、降りるよー」
ユウの声にサツキがはっと顔を上げる。
隣には優しい笑顔をしたユウの顔があった。
「あ、ごめんなさい・・・」
「ほら、行こう」
ユウに引っ張られるような感じで、サツキは電車を降りた。
そしてパスポート・チケットを買って、二人は遊園地の中へと入っていく。
「うわあ・・・」
思わずサツキが感嘆の声を上げる。
日曜日と言うこともあったが、二人が来た遊園地はこの近隣では最大規模のものであり、あちこちから楽しそうな声が聞こえてきていた。
「ほら、最初はどこ行く?」
いつのまに持っていたのか、ユウがパンフレットをサツキに見せながら聞いてきた。
「もちろんジェットコースターからでしょ♪今日はいっぱい遊ぶわよ〜」
サツキは待ってましたと言わんばかりの勢いで、ユウを逆に引っ張りながらジェットコースターへと向かった。
「あれ?ユウってジェットコースターだめなの?」
全部で3つあるうちの最初のジェットコースターに乗り終わった後、少しふらふらになっているユウに向かってサツキが聞いてきた。
「う、ううん。大丈夫・・」
本当はあまり大丈夫ではなかった。ジェットコースター自体にユウが慣れていない上に、そのジェットコースター自体も高速での急激な方向転換や、どっちかと言えばジェットコースターに刺激を求めるような人が乗るようなものだった。
「そう?無理そうならやめるけど、本当に大丈夫・・・?」
サツキが心配そうに話しかけてくるが、ユウはせっかくサツキが楽しもうとしているのに、自分のわがままでサツキを悲しませたくなかったので、少し作り笑いをして
「ううん、大丈夫だから心配しないで」
「そう・・。わかったわ。でも、無理そうならちゃんと言ってね?」
サツキの言葉にユウは黙ってうなずく。サツキはそんなユウを見ながら
「それじゃ、次のジェットコースターにレッツゴー♪」
楽しそうに言いながら、ユウと一緒に遊園地の中を歩き回る。
ユウはそんなサツキを見て、楽しそうで良かったと思ったが、次のジェットコースターで自分の考えが甘いことを思い知らされた。
「・・・だから無理なら言ってって言ったのに・・・・」
ジェットコースターと言うよりは、ハイスピードで次々とカーブを曲がっていくかなり遠心力とGがかかる乗り物で、乗り終わった後はユウはもう何も言えないくらいグロッキー状態になっていた。
「ごめん・・・。でも、サツキが楽しそうだったから・・・。でも、サツキは強いね・・・」
「これくらいなら、ね☆じゃあ、今度は少しゆっくりしたものに乗ろうか?」
「うん、そうしてくれると助かる・・・。ごめんね・・・」
サツキはそんな謝るユウに優しい視線を向けながら、再びユウの手を引っ張って、次の乗り物へと向かった。
「いっただきまーすっ☆」
それから、遊園地内を周遊する船とか様々な乗り物に乗って、お昼の時間帯を過ぎた1時半くらいに二人は食事を取るために、ユウが遊園地内にある屋台で軽く食べ物を買ってきていた。
ユウが買ってきたクラブサンドとジュースを食べながら、サツキが楽しそうに笑う。
二人でベンチに座りながら、ユウはふと違和感を感じた。
そして、すぐにその違和感の正体がわかった。
座っているユウたちのそばをたくさんの人が通り過ぎるわけだが、その中で結構ちらちらとサツキを見る人が多かったのだ。
そしてユウもサツキのことを見ていると、
「どうしたの?わたしになにかついてる?」
「いや、そういうのじゃないよ。気にしないで」
そんな風に答えながらも、(確かにサツキってこう見るとかわいいし・・。幽霊だって誰もわからないからなぁ・・)と思っていた。
そしてちょっと恥ずかしくなって、下を向いていると、サツキがユウに向かって手を伸ばしてくる。
ユウがびっくりして硬直してると、
「ほら、これ付いてたよ?」
とほっぺたについていたパンのかけらをサツキが優しく取って、にっこりと笑ってきた。
でも、そんな些細なことでも嬉しくて、ユウは思わず微笑んでいた。
そして、それから色々なアトラクションをまわって、そうしているうちに夕方になった。
「どうしよっか。まだ、回る?」
サツキがユウに問いかけてくる。
「そうだね・・。この後パレードがあるらしいから、それを見たら帰ろうか?」
ユウの言葉にサツキがうなずいて、二人はもう少し遊園地の中を歩き回る。
すると、ドンドンと花火が上がって、遠くからパレードが始まった音が聞こえた。
「あっ、始まったみたい!」
「そうだね、行こうか」
ユウとサツキは少し走って、パレードコースへと向かう。
この遊園地のパレードは、マスコットキャラクターを初めとして、たくさんのダンサー達も一緒にパレードを盛り上げるタイプで、非常に遊園地の中でも人気があるものの一つだった。
ユウとサツキが立ち入り禁止ラインの手前で見ていると、マスコットキャラクターが二人のところに来て、握手をしてくれた。
「わぁ♪握手しちゃった」
「そうだね。まさかぼくも握手できるとは思ってなかったよ」
とても嬉しそうに言うサツキを横で見ながら、ユウは来てよかったと心から思った。
「さて、帰ろうか?」
「あ、最後に観覧車だけ乗っていかない?きっとこの時間だし、きれいだと思うの」
サツキがそう言いながら、遊園地の中心よりちょっと外れた所にある観覧車を指差した。
「うん、じゃ、乗ろうか♪」
ユウが笑って言うと、サツキはとても嬉しそうな表情をして、ぎゅっとユウの手を握り締めてきた。
「はい、どうぞー。カップルさんですね?空の旅をお楽しみください☆」
受け付けをしていた女性に言われて、サツキはちょっと恥ずかしいのか、少しだけ顔を赤らめる。
そして、観覧車に乗り込んで動き出すと、遊園地の景色はもちろん、遠くの街の灯りまでがきれいに見えていた。
「わあ・・すごい・・・」
サツキも感激したのか、そっと観覧車の窓に手を当てながらつぶやく。
「ねえ、やっぱりわたしたちって恋人同士に見えるのかな?」
「サツキ、どうしたの?いきなり」
「ほら、これに乗る時、受け付けの人がカップルさんだって言ってたから、だからそう見えるのかな?って思っちゃって」
「うーん。どうだろうね。でもぼくはサツキと恋人同士に見られるのは嬉しいけど、サツキはいや?」
「い、いやなんてことないよ?ユウとだったら、そんな風に見られたって・・・」
その瞬間、ガタンと言う音がして、観覧車が止まり、灯っていた電気も消えて真っ暗になった。
「わっ!?な、なに!?」
不安になって、少しパニックに陥るサツキのつないでいる手を、ユウは少し力を入れて、ぎゅっと握った。
「大丈夫、ぼくが一緒だし。それとも、まだ怖い?」
サツキからは返事はなく、その代わりにユウにサツキが抱きついてきた。
「さっ、サツキ・・?」
「お願い、このままでいさせて・・・」
サツキの言葉に、ユウはそのまま黙ってうなずく。
「・・・今日ね、ユウが誘ってくれて、とっても嬉しかった・・。さっきも言ったけど、わたし、デートなんかしたことなくて・・・。それで死んじゃったから、こんな風に誰かと遊園地に来るなんてないって思っていたの。だから、ユウが誘ってくれて、本当に嬉しかった・・。でも、どうして私を誘ってくれたの?」
「そ、それはぼくが・・サツキをす・・・」
ユウの言葉は、サツキが途中で唇を重ねてきたために遮られた。
「んっ・・・」
開いている手で、サツキがユウの首の後ろに手を回してくる。
そして、抱き合ってキスをしていると、再びガタンと言う音がして、観覧車が動き始めた。
サツキが唇を離して、きょろきょろとあたりを見渡す。
「あっ!これだったのかも!!」
観覧車の中に張ってある一枚の紙を見つけて、サツキが指差す。
その紙には「ナイトハートフルタイム」として、夜6時以降の観覧車は、途中で15秒程度停止するということが書かれていた。
「なんだ・・。故障とかじゃなかったのか・・・」
ユウが安心したように言う。だが、サツキは微笑みを浮かべて、
「さっき、ユウは、私が好きだから誘ってくれたって言おうとしたの?」
「う・・。そ、そうだよ・・。サツキとだから、一緒に来たかったんだ・・」
「わたしも、ユウと一緒で、本当に嬉しいよ・・・」
恥ずかしくてユウが顔を真っ赤にしながら言うと、サツキが再び抱きついて、ユウにキスをしてきた。
観覧車と言う誰からも見えない密室空間の中で、二人は口付けをする。
遊園地や街のイルミネーションは、そんな二人を輝かせるかのように、きらきらと光っていた。
そして、二人は遊園地から電車へ、そして二人の部屋へと帰っていく。
行く時よりもさらに硬く握られた二人の手、そしてお互いの気持ちを確認しあったしあわせな微笑みの表情をしながら・・・・。
あとがき。
読んでくださり、ありがとうございました☆
今回のコンセプトは「遊園地デート」です。一応題材とした遊園地は、
「東京ディズニーランド」ですが、あそこには観覧車はないので、そこはオリジナルです(笑)
私服を考えるのも結構大変ですね(笑)
「この取り合わせは色的におかしい」とかとか、ありましたらドンドン言ってくださいw
基本的にデザインセンスないと本人は思ってますので・・・w
それでは、また次回作でお会いしましょう♪
Februry,23rd PM22:32
Presented by Yuki Kusakabe